遠那かんし氏の光るTda式初音ミク・アペンドのキットを紹介!

10.11.2013 · Category レビュー

 

 現在、電撃屋ホビー館では原型師・遠那(とおな)かんし氏によるTda式初音ミク・アペンドを受注中だ。今回は、この美しいカラーレジンキットを紹介しちゃうぞ!

 なお、マスターファイルブログでは10月14日の22時よりUstreamなどによる映像配信でこのキットを詳しく紹介する予定だ。原型師の遠那氏がゲストで、キット組み立て上のポイントなどを解説してもらうほか、原型製作風景の紹介なども予定しているのでぜひ見てほしい。

■USTREAM「MasterFileblog Channel
ニコニコ生放送
【配信日:2013年10月14日22:00~】

 

原型師・遠那かんしとカラーレジンキット

 まずはTda式初音ミクとはなんぞや? というところから解説していこう。このフィギュアのミクは、もともと「初音ミク・アペンド」のパッケージが元になっているが、このデザインをTda(ティーダ)氏がMMD(3DCGソフト)用のキャラクターデータとして製作、その可愛らしさと完成度で人気に火がついたものだ。

 遠那氏も有名フィギュアメーカーから発売されたボーカロイドシリーズキャラクターの原型を手がけるなど、ボーカロイド好き。Tda氏の初音ミク・アペンドを見た瞬間、以前から挑戦してみたかったフィギュアのアイデアを実現するに相応しい題材だ、とひらめいたという。

 そのアイデアとは、自身が推進する「自分の手で完成させるフィギュアキット」、そして「市販の完成品フィギュアにはない独自性」の2つのテーマに沿った、カラーレジンキットの新たな可能性を示す画期的なものだったのだ。

 それを詳しく語る前に、原型師としての遠那氏についてもう少し語っておかねばならない。マスターファイルブログの前身であるサイト・GA Graphic時代から何度か氏のフィギュアとその理念を取り上げてきたが、氏は「模型を楽しむ人たちにいつまでも忘れてほしくないこと」があるのだという。それは、我々がときおり記事の中で訴えていることとまったく同じ、「自分の手で作ることの喜び」である。

 昨今、完成品フィギュアのブームによって手軽に出来のいいフィギュアを楽しむことができるようになった。それはそれで喜ばしいことなのだが、プラモデルでもフィギュアでも、苦労して自分の手で製作作業を行い、完成した瞬間に得られる満足感や達成感、抑えようなく沸き上がってくる歓喜の感情、そういったものをできるだけ多くの人に体験してほしいと願っているのだ。

 そのため、氏はかなり早くから、塗装や組み立ての手間をできる限り軽減し、敷居の高かったガレージキットを身近なものにしようと様々な工夫を凝らしたキットを発表してきた。たとえば、現在では一般的な概念となったカラーレジンキットにしても、すでに7~8年前の段階でかなり突き詰めたキットを完成させるに至っている。

 当時、瞳のパーツが黒目と白目、睫毛とで分割してあり、塗ったりデカールを貼ったりすることなく組むだけで「目」として完成するのを目の当たりにして、ファンのみならず多くのメーカー関係者や同業の原型師が驚いたものだ。その後、作業のしやすさと美しさの観点から瞳そのものはデカールとしたものの、睫毛を立体的に見せるために目の周りを顔とは別パーツとする方式を生み出して今に至る。

 さらに、購入後のアフターケアにも気を遣い、自ら製作教室を主催して初心者へのガレージキット普及に努めた。メーカーやイベントがやっていることを、個人のレベルで実行してきた。それだけガレージキットの世界を愛している原型師の1人だといえるだろう。

 

Tda式初音ミク・アペンド、キットの秘密

 さて、前置きが長くなったが、今回のTda式初音ミク・アペンドはそんな遠那氏の思想がより高度に具現化した作品として送り出されている。カラーレジンキットを単なる色分けされたパーツとしてだけでなく、生産を請け負うメーカー・R.C.ベルクの協力を得つつ、さらに踏み込んで美しい「色彩」を再現した。

 また、遠那氏の真骨頂でもあるパーツ分割は、ただ細かく分けるだけのものではなく、初音ミクを美しく輝かせる(これが比喩ではなくまさに文字通り、なのだが)ために注ぎ込まれた、技術の結晶だ。

 実はこの初音ミク、電飾が仕込めるようになっており、主として腰部の飾りに付いている透明パーツを光らせることができる(写真はページ後半で紹介している)。まず1つ目は、なかなか完成品フィギュアでは実現の難しい「電飾」というポイントだ。

 これについては後述するとして、まずはフィギュアの造形について見ていこう。

 髪の毛はクリア素材で透き通るようなミクのブルーのツインテールが表現されている。写真を見ると分かるが、テールの先の方に行くに従って色が濃くなるグラデーションがかけられている。

 このパーツは塗装ではなく、パーツの注型で実現されているのだ。つまり、プラモデルでいえば成型色ですでにこの色になっているのがスゴイ。これは注型を担当するメーカーの努力のたまもので、なかなかに高度な技術を要するものだそう。

 顔は、遠那氏の最近の造形トレンドに沿い、睫毛の黒い部分が立体的に仕上げられている。Tda式ミクの特徴ともいえる睫毛とキラキラ光る瞳。顔のパーツにはめ込み、瞳デカールを貼ることで完成する(このデカールのグラデーションがまた美麗なのだ!)。また、口周りもくり抜かれていて立体的だ。

 衣装の上半身は縦に細く肌が露出している独特のデザイン。この衣装と肌ももちろん分割されている。基本的に色の異なる部分はすべて分割されている。ただし、組み立ての際にガレージキットにありがちな「真鍮線を通して補強する」作業などは必要なく、瞬間接着剤で固定するだけで組み立てられる。

 腕や脚の濃いグレー(黒)部分は、これもまたメタリック調にグラデーションがかかっている。カラーレジンキットと聞いて想像する色彩の単調さが、髪の毛とこのグレー部分のメタリックで変化に富んだものとなっている。あとは、組み立てる人がワンポイントで爪に色を乗せ、顔に「お化粧」をしてやることでグッと可愛くなるだろう。

 ポージングそのものもそうだが、髪の毛のテールやネクタイ風、及び尻尾状のパーツなどが躍動感を醸し出す。前髪は絶妙な長さで顔にかかっていて、角度を変えるといろいろなミクの表情が楽しめるぞ。

 腰周りはオプションパーツを追加購入して組み込むことで、光らせることができるが、埋め込まれた透明パーツによりそのままでも充分美しい。

 電飾は、台座内に収められた電池パーツ及びコントローラーからの配線を、脚を通して腰まで引き込む構造になっている。この細い脚の中に空洞があるのだが、強度を確保するために長い真鍮線(キットに同梱)が通される。その上、光の透けを防止するためのパーツも内蔵するので、設計の妙味を堪能できる部分でもある。実際にキットを購入したら、この部分の「職人芸」をぜひとも味わってほしい。

 背中はパーツ分割のラインを衣装の「縫い目」に合致させるという細かな配慮がなされている。

 遠那ファンがよく知る、遠那造形の見どころのひとつ。それがおしりのラインだ。

 二の腕、ネクタイ、腰のサイドの模様もデカールで再現。

 腰回りのパーツのゴテゴテ感、隙間から覗く白い素肌。立体と色彩のコントラストが見事だ。

 

光る! 生命を吹き込まれるミク

 光ることの効果はいうまでもなく単純に「綺麗」だというその1点に尽きる。その説得力はスゴイ。言葉が要らない。見た人が例外なく「おお!」と感嘆の溜息をつくだろう。

 この初音ミクを作るのであれば、ぜひ電飾まで含めて楽しんでもらいたい。光る、というのは不思議なもので、それだけでなんだかフィギュアが生きているかのような錯覚になる。動くわけでもないのに、なぜか生命を吹き込まれたような気がするのだ。

 電飾というのは、模型をたしなむ人にとって「やってみたい」工作のひとつだろう。昔からムギ球などで模型を光らせる工作は存在したが、近年はLEDが流通しており、より高度な電飾が楽しめるようになっている。プラモデルのオプションパーツとして発売されているものなら、組み込むだけで誰でも簡単に電飾を実現できる時代だ。

 そうはいっても、LEDは電圧だの抵抗だの、本格的にやろうとするといろいろ面倒なことも多い。だが、この初音ミクはまるでこのミクのためにあつらえたかのような電飾セット「歌姫セット」なるものを利用することで、わりと手軽に電飾が可能になっているのだ。

 遠那氏は、以前からフィギュア+電飾の構想を持っていたという。このTda式初音ミク・アペンドを見た時、これこそ積年の夢を実現するに相応しいキャラクターだと直感したのだ。

 パソコン上でいわば仮の生命を与えられた初音ミクと、手で触れることはできるが自分で動くことはないフィギュア。かりそめの擬似存在だが、だからこそこの2つには共通するものがあり、その歌声と同じく不完全だからこそ儚さが漂い、たまらない魅力となって我々の目に、耳に届く。

 初音ミクファンであるならば、このフィギュアが体現しようと試みた、潜在的に初音ミクという存在が内包している本質が理解できるはずだ。

 原型師の表現力ももちろんだが、これをキットとして生産するR.C.ベルクというメーカーの技術力と開発努力、製品として成立させようと努力した電撃ホビーマガジン編集部、そしてその趣旨を汲んで許諾を出したクリプトン・フューチャー・メディア、それぞれの想いがこのフィギュアを形にした。それは、初音ミクにまつわるひとつの奇跡といってもいい。

 ガレージキットは、もともとワンオフのモデルを「本当に欲しいと思う人」に少量生産して分け与えたところからスタートした。想いを共有する初音ミクファンよ、この奇跡のアイテムを入手できる機会は今しかないぞ!(レッド受注は10月18日まで。申し込みは下記を参照のこと)

 なお、遠那氏は「この初音ミクに関しては、買ったのに作れない、という人を出したくない」との思いを抱いているといい、自身のサイトで製作講座ページを開設してフォローに当たっている。冒頭で告知した映像配信もその一環だ。プロ造型師の助言や実際の作業風景を見ることのできる貴重な機会なので、時間のある人はぜひ覗いてみてほしい。

Tda式初音ミク・アペンド カラーレジンキット
作品名:キャラクターボーカルシリーズ01 初音ミク/初音ミク・アペンド
受注期間:2013年10月18日まで
発売日:2014年1月発送予定
価格29,000円(税込・送料別)
原型製作:遠那かんし
仕様:1/8スケール/9色カラーレジン製組立キット/パーツ数99(デカール・金属棒付属)
製造:R.C.ベルグ
販売:アスキー・メディアワークス
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©Tda/Crypton Future media. INC.
※写真は組み立てサンプルです。
※本商品は購入後、自分で組み立てる必要があります。

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