ウェーブのプロップ風1/72 マットジャイロを自分の手で組み立ててみよう!

09.26.2013 · Category レビュー

 

 今回は、ウェーブから発売となった『帰ってきたウルトラマン』マットジャイロの1/72スケールプラモデルをレビューしていきたいと思います。“新マン”からは同じくウェーブのマットアローがリリースされていますが、これらはいわゆる「プロップ」といわれる撮影に使用されたモデルを再現したシリーズです。

 現実の航空機ライクなアレンジも良いものですが、劇中の雰囲気そのもの、といったフォルムがたまりません。そういえば、劇中でも郷さんが次郎くんの誕生日に手作りのマットアローをプレゼントしたエピソードがありましたが、このウェーブのプラモデルシリーズは、まさにそんな郷さん気分を手軽に味わえる組み立てやすいキットとなっているのでオススメ。

 「そうはいっても、航空機のプラモデルって難しいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、このキットはちょっとした手順の工夫で塗装や仕上げがものすごく楽になる構成となっています。初心者が挑戦するにはもってこいのプラモデルですので、ぜひ余暇を利用して組み立ててみてください。では、詳しく工程を紹介していきましょう。

 



■組み立てていきます!

■パーツ構成その1

■パーツ構成その2。ポリキャップはウェーブの汎用部品が入っていますが、実際に使うのはごく一部です

 今回は、とにかく細かいことは気にせずに、完成までもっていくことを主眼に工程を進めました。厳密にはパーティングラインや表面処理などといった仕上げに影響する作業を行った方が良いわけですが、お手軽に組み立ててもちゃんと見映えよく完成するというところをお見せしたいと思って、ほとんど省いています。

 もちろん、手をかければかけただけグッと完成度は上がりますから、時間と技術のある方はじっくりと腰を据えて取り組んでいただければよろしいかと思います。

■右側が内部に組み込まれる部品。内部部分は接着して箱形に組んでしまってかまいませんが、左側の外装とは最後まで接着しないようにします

 まずはパーツを切り取りながら組み立てていきます。それほど細かいパーツ分けもありませんし、精度も高く歪みもないのでサクサク組み立てることができます。

■ローター外装の貼り合わせは少し注意

 組み立て工程で特に難しいところはありませんが、ローターの外装の貼り合わせには少し注意が必要です。真ん中の板状パーツがつっかい棒になるので、うまく貼り合わせができない場合があります。板状パーツを後からはめてもいいのですが、マスキングテープなどでしっかりと固定してやれば大丈夫です。

 その際、特定の方向だけでテープを留めるとテンションがかかって、継ぎ目がズレてしまう可能性がありますので、写真のようにいろんな方向から同じくらいの力で固定してやるといいでしょう(輪ゴム等でも可)。

■パーツの削りすぎでできてしまった隙間は、瞬間接着剤で埋めると楽です

 パーツをランナーから切り離す際、アンダーゲートといってランナーがパーツの下側に回り込んで付いている箇所があります。これはパーツの形状を損なわないように切り離すことができるように配慮された部分なのですが、特に初心者だとこの部分を削り落とす際に、周辺を削りすぎてしまうことがあり、そうすると上の写真のように隙間ができてしまいます。

 修正にはパテなどを盛る方法もありますが、今回はお手軽に瞬間接着剤で埋めて紙ヤスリで削りました。ちなみに、紙ヤスリによってスジ彫りが消えてしまった場合は、ケガキ針などでの彫り直しがベストですが、シャーペンで線を引き直すだけでも大丈夫。この鉛筆などでのパネルライン再現は、実際の撮影用プロップでも使われている手法です。

■瞬間接着剤を早く硬化させるために、ウェーブ製の「瞬着硬化スプレー」を吹きかけます。一瞬でみるみる硬化するので作業がはかどります

■組み立て終了!

 組み立てはほどなく完成しますが、ここで気をつけるのは説明書通りにすべてのパーツを接着しないことです。

■実際は塗装のことを考えて、ある程度組み立ててはいるものの、パーツを接着していないところも多いです

 実はこのようにバラバラになっています。内装は塗装のことを考えて天井と扉をはずしたまま。プロペラ周りも色の異なる部分はすべて接着しないままです。

 塗装が終わったらすべて接着してかまわないのですが、テールなどは運搬や収納のことを考えて載せるだけ、という選択もアリです。なお、接着は塗装を侵してしまうことが考えられるので、瞬着または透明のエポキシ系接着剤、もしくは木工用ボンドなどがオススメですね。

 



■エアブラシで塗装していきます!

■まずは下地になる白色から吹いていきます

 塗装はエアブラシを使用します。エアブラシを使う、というところで「初心者向きじゃないよ!」と感じる人もいるとは思いますが、逆にいえばこのマットジャイロはエアブラシ塗装の格好の練習台になるのですよ!

 普通の航空機プラモデルだと、組み立ての途中でコクピットなどを「先に塗装してから組み込む」といった指示があることが多く、その場合、先に塗った部分にマスキングなどをしなければならないこともあります。難しいプラモデルは手順がより複雑です。その点、このマットジャイロは塗る色の種類も最低限ですし、塗り分けもパーツごとでOK。また、手順もイメージしやすいのが素晴らしい。

■プロペラは白を吹いた後に黄色で仕上げます

 プロペラは、説明書の塗装指示ではイエローとなっていますが、今回は黄橙色を使いました。下地の白を吹いておけばコントロール次第で落ち着いた綺麗な黄色になります。

 下地の白を吹くのははプロペラとプロペラの先の赤いパーツ、パイロットフィギュアだけで充分。塗装の順番ですが、「薄い色から吹いていく」というセオリー通りに実施できます。白 → 黄色 → 赤 → グレー(内装) → 黒 → 銀となります。

■ローター内側には先に黒を吹いておきます

 具体的な塗装指示はないのですが、パッケージの完成見本写真ではローター内部が黒く見えます。ここは先に黒を吹いておくことにしました。

 きっちり塗り分ける必要はありません。ですから、マスキングはしません。後から外装の銀を吹きますが、これが内側に多少はみ出したところで、グラデーションになったと思えばいいのです。

■外装が「銀色」というのも初心者向きな理由。左が塗装後、右が塗装前の成型色です

 外装の銀色を吹いていきます。銀という塗料は素晴らしくて、下の色を隠す力(隠蔽力)に優れるので、失敗のリカバーが簡単で、まさに初心者向き。エアブラシでもすぐに色が乗るので厚吹きしてしまう心配も少ないですし、なにより美しいのですごく上手く塗装できた気分になりますよ!

■キャノピーのマスキングは慎重に。枠の角の丸みを帯びた部分は、フリーハンドでテープをデザインナイフで丸く切って貼り付けます

 キャノピーの枠は今回の作業でマスキングが必要な唯一の部分。ちなみに中央部分を黒で塗装する指示がありますが、これは隠れてしまうし、それほど目立たないので省略しました。

 マットジャイロのキャノピー枠のマスキングは、これもゆるやかに曲がった一本のラインのみなので比較的楽です。たとえば、大戦中のプロペラ機などだと、縦横に何本も枠のラインが入っているものがありますが、あれはプロモデラーでも手こずる難易度ですから、それに比べればめっちゃ簡単です。

■塗装が終わった部品群。内装天井の一部パーツを切り落としているのは、ボディ外装の後部パーツを接着したことにより、後ハメができるよう処理をしたためです(黄色の矢印)

 塗装のハイライトは、パネルラインに沿って吹くシャドーでしょうか。これを施すことで一気にSFメカらしさが出てきます。クリアにブラックやグレーを混ぜて塗り重ねる方法もありますが、今回は銀色に直接黒を混ぜて吹き付けました。

 万が一吹きすぎても、上からまた銀色を吹けばリカバーできますので、思い切って大胆に吹き付けましょう。ちなみに当然ですがマスキングなどはしません。こうしたシャドーは単調な銀一色に表情が付いていれば良いので、極端な話、まだらでもそれっぽく見えるものです。

■塗り終わったパーツを取りあえず組んでみたところ。まだそれぞれのパーツは接着していません(パイロットが乗っていないことからもお分かりかと)

■パイロットを塗装します

 パイロットは下地の白、オレンジまではエアブラシですが、胸の黒いラインやヘルメットの赤などは筆塗りで。パイロットは1パーツなので、ランナーに付いたままの状態で塗装が可能です。

■塗りそのものはかなりいい加減ですが、それっぽく色が付いていれば問題ないでしょう。内装に指定されているRLM02グレーは、少し緑がかった色をしていますね

 



■デカールを貼っていきます!

■左上の黒いパーツはタイヤですが、後脚を先に接着してしまうと後からではハマりません。でも大丈夫、後脚の軸を数ミリ切り飛ばしてやれば後ハメ可能です(もちろん後脚を接着しないでおいて銀を吹く、という順番でも可)

 今回の組み立てで最も慎重さを要するのが、デカール貼りです。ここまで来て失敗したくないのでドキドキします。

■デカールは切り取った部分を水に浸したらすぐに引き上げて数十秒~1分くらい放置すれば貼る準備完了です

 側面の赤いデカールは、機体の下側に回り込むのでシワになりやすく、ここは処理が大変です。デカールを柔らかくする「マークソフター」を使う、蒸しタオルを当てる、といった手段が考えられますが、今回はマークソフターとカップ(保温性のあるものが良い)に汲んだ熱湯に綿棒を浸してアイロンのように押し当てる方法を使って少しずつ曲面に馴染ませました。

 広い面積のデカールはパーツ上の目指す位置に正確に乗せるのがまず難しいのですが、「スライドマーク」の別名の通り、マークの端の部分の位置を決めたら、マークそのものではなく下の台紙を引き抜くようにすると上手くいきます。マークソフターなどの薬品を使うのは、水を含ませた綿棒で位置決めが終わってからにしましょう。先に柔らかくする薬品を付けると、位置をずらそうとして力を加えると破けてしまうことがあるからです。

 どうしてもシワが解消できない場合は、シワの頂部にデザインナイフで切れ目を入れてやると平坦に馴染ませやすくなります。あとは、思い切って塗装にしてしまうという方法もありますね。プロモデラーはデカールをパソコンでスキャンし、プロッタという機械を使ってマスキングシートを同じ形に切り出して貼り付けるというテクニックを使うといいます。

■無事にマークを貼り終え、スミ入れが終われば完成!

 デカールを貼り終えたら、タイヤの中央部分(ホイール)、航行灯などの細かい部分を筆塗りで仕上げれば完成です。塗装作業は準備も含めてトータルで6時間くらいでしょうか。

 実はうっかり航行灯を赤・青と逆に塗ってしまうというミスを犯したのですが、これは切り飛ばしてキットに同梱されているクリアパーツに取り替えました。裏に赤・青の色をそれぞれ塗って、銀色のボディの上に接着(つまようじの先を使い極少量の接着剤を付ける)すると、光が反射して光っているように見えるので、良い感じです!

 



■完成写真です!

■自分自身で完成させた「プロップモデル」。ある意味で本物の再現ですが、実物の航空機が存在するわけではない撮影モデルということなので、むしろ手作り感が出た方が雰囲気が出るかもしれません

■側面のMATのマークがカッコイイ!

■ローターは内部のポリキャップで可動します

■コクピットに人間が座っていることで、航空機らしさが増します

■ローターは鮮やかな黄色で、コントラストが目を惹きます

■下面には武装の砲身が見えます

■後部カーゴの扉は開閉可能

■某H社のV-22オスプレイ(素組み)と比較してみました。同じ1/72スケールです。機体の構成が非常によく似ていますよね。ティルトローターの実験機は当時すでにありましたが、オスプレイはまだ影も形もなく、いかにこのマットジャイロが先進的なデザインだったか、今さらながら驚きます

 いかがでしたでしょうか。航空機モデル、エアブラシ塗装の基本中の基本を習得するのにも最適なマットジャイロを紹介しました。古き良き昭和のテイスト満載のフォルムが味わえつつも、最新の成型技術おかげで組み立てやすさにも配慮された好キットです。お子さんがいらっしゃる方などは、「帰ってきたウルトラマン」のビデオを一緒に見ながら、郷さんの気分でマットジャイロを製作し、「父さんが作ったんだぞ」と鼻高々にプレゼントしてあげる、というのも良いかもしれません。

 プラモデルの購入者の中には、「いずれ腕が上がったら組み立てよう」とか「老後の楽しみに」と箱を積んだままにしている人もいるかと思います。もちろんそれはそれで良いのですが、プラモデルというのは作らなければ上達もしないし、歳を取れば老眼になるわ手は震えるわで、「いつか」の機会が来ない可能性もあります。綺麗に仕上げたい、というのは人情ですが、今回の記事の通り、完成に至る手順や手法は人それぞれでいいのです。

 ぜひみなさんにも、この好キットを自分の手で作る喜びを味わってほしいと思います。

1/72 帰ってきたウルトラマン マットジャイロ
ウェーブ/発売中(2013年9月発売)/4,725円(税込)/全長:約18cm

でじたみん Yahoo!店 でじたみん 楽天市場店

©円谷プロ

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1件のコメント ウェーブのプロップ風1/72 マットジャイロを自分の手で組み立ててみよう!

  1. 匿名 より:

    オスプレイと並べるなんて、なかなかいいところ突きますねw
    初めてオスプレイを見た時、マットジャイロのことしか浮かばなかったです。

    こうしてみると、デザインの先進性といい、機体規模といいスタッフはずいぶんと優秀だったんですねぇ

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