初心者にも挑戦して欲しいピットロードの1/700護衛艦あきづき

05.25.2013 · Category レビュー

 2012年、海上自衛隊に新たな新型護衛艦が配備されました。艦隊の防空任務を担当するイージス艦を守る僚艦防空(LAD)の任務をこなす海上自衛隊の最新鋭艦です。艦名はDD-115 あきづき。汎用護衛艦として戦闘任務のほか災害派遣など幅広い任務に対応する次世代の護衛艦ですね。

 海上自衛隊の艦船を積極的にリリースし続けるピットロードより、今回早くも1/700でキット化された「あきづき」を紹介します。

 普段は主に飛行機とガンプラを製作しているので、艦船模型を前回いつ製作したのかさっぱり覚えていないのですが、たしか最後に製作したのは同スケールのDDG-173 こんごうだったと記憶しています。初めて見学に行った観艦式で、荒い波をかき分け進むイージス艦の姿に感動して翌日にはキットを購入しにいったものです。少なくともあれから10数年位の月日が流れています。さて現在の最新キットはどんな風に進化しているでしょうか?

 それでは週末にサクッと作り終えるような工作方法で最新キット「あきづき」を製作してみましょう。

 

一体成型されたシャープな艦橋

それでは早速上部構造物から見ていきましょう。

■艦橋を張り合わす事なく一発抜きで再現しています。最新の多機能レーダー・FSC-3A造形も非常にシャープな出来になっています

 ステルスを考慮して設計された艦橋構造物はスライド金型による一体整形で再現されています。ビシッと立ったエッジや、開閉ドアやラダーなどがモールドされ、その精度も表現度も非常に高いのです。また艦尾にあるヘリコプター格納スペース内壁には梁などの内部が表現されていてシャッターを開放した状態で組み上げることもできるのです。

■「あきづき」は2機分の収納スペースが設けてある、後部ヘリコプター格納庫です。キットではシャッター部分は別パーツ化されているので、格納庫を開閉状態で完成させる事ができます

 

フルハルモデルも再現可能

 船体は上下割りとスタンダードなパーツ割りで再現されていますが、なんとこのキットには艦底部分も付属しているのでフルハルモデルとして完成させることもできます。

■ウォーターライン/フルハルモデルの選択式で、ディスプレイの幅が広がりました

 

部品は小さくとも組み立てやすいパーツ精度の高さ

 艦橋が一体パーツで再現されるなど部品数が押さえられているため、部品点数はそれほど多くありません。しかしそこは艦船模型なのでガンプラを作るような感覚と同じにはいかないのも事実です。

■SSM90式四連発射筒など感動的に細かでシャープなパーツ群。写真で見ると大きく見えますが、実際に見るといろんな意味で笑みがこぼれる大きさだったりします

 何しろスケールは1/700。そのため艦体を司る艦橋や船体などの主要部品以外のパーツは、だいたい1~3ミリ大程度の大きさしかないのです。そこで、製作にあたってピンセットを用意しておくと良いでしょう……いえ、“でしょう”ではなく、“絶対”用意しなければいけないですね。ピンセットは好みにもよりますが、先の曲がった鶴首式のタイプでなく、先端の尖ったストレートタイプをオススメします。パーツを取り付け位置に持って行くのにこちらのほうが都合が良い印象でした。

■写真上部中央には近接防衛20ミリCIWSが見えます。さらにその右には12.7ミリ単装機銃までパーツ化されているのですが、わかるでしょうか?

 細く小さな部品を見ると、こんな細かい部品をきちんと接着できるのかな?と、少し不安に思うかもしれません。けれど、船体側の取り付け位置にはパーツがはまる受け口が用意されていたりするので、取り付け位置や取り付け角度で迷うようなことはありません。

 もし、「うまく付かないぞ?」と思ったら、自分が取り付けるべきパーツや取り付ける向きを間違っている可能性を疑ってみましょう。組み立て説明書などをもう一度よく確認してみることをオススメします。それくらい設計の精度は高いのです。

 パーツの接着に際しては、ニッパーで丁寧にゲートを切断し、ピンセットで保持しながら微量の接着剤を付けてレイアウトしていきます。もちろんニッパーも切れ味の良い刃先が薄い物がオススメ……というか必須です。

 細かいパーツに使う接着剤には、タミヤセメントなどのスチロール樹脂系の模型用接着剤を使うと良いでしょう。接着剤の乾燥時間に少し余裕があるのでパーツを装着した後に角度の調整ができるのが良いのです。今回はモデラーの定番ブランド、タミヤセメントとMr.セメントS[流し込みタイプ]を場所によって使い分けました。

■キットを組み立てるだけでこの密度感! パーツの合いも良いので、製作にストレスは感じません。こうしたポイントは大事な要素ですよね

 細かなパーツを慎重かつもりもりと組み上げていくと、あきづきの特徴を良く捉えた密度感ある船体が出来上がります。1/700スケールの船体に小気味良く圧縮再現されたマスト、レーダードーム、127ミリの主砲等々のパーツ群が実に良い雰囲気を出してくれるのです。

 苦労して取り付けたパーツが船体に落とす影、そのコントラストは1/700スケールを感じさせない密度感を演出してくれますね。一生懸命組み立てた努力の甲斐があるというもの!

■細かく精密なディテールをご覧ください。その精細なパーツ群のおかげでスケール感を存分に味わう事ができます

■艦首主砲は海上自衛隊最大の口径を誇る127ミリ Mk45 Mod4を3パーツで再現されています。垂直発射式のMk41VLSは1パーツですがシャープなディテールがこれまた素晴らしいのですよ

■実は製作途中にパーツを落としてしまい、その捜索作業の方が組み立てるより長かったりします。カーペットに落とすと最悪なのでみなさんもご注意ください……

■ステルスマストにはORN-6E-2をはじめ、IFF、ヘリコプター・データリンクアンテナなどが精細なパーツで再現されます。ファンネル横にある全長11メートルの作業艇のディテールもなかなかのものです

■インマルサット衛星通信装置を上部に装備した艦尾ヘリコプター格納庫。今回はシャッターが閉じた状態で製作しました

 キットには付属品として後部飛行デッキに対応した同スケールのSH-60K哨戒ヘリコプターが付属します。SH-60Kは最新の高性能メインローターの形状もちろん再現。また、艦名、艦番号、ウォークラインが印刷されたデカールも用意されています。

■付属品のSH-60Kも凄いのでアップでご紹介。硬貨と比べるとその大きさが実感できるでしょう。極小サイズながら9個(折りたたんだローター含まず)ものパーツで構成されているのです

■艦尾ヘリコプターデッキに搭載するとさらに精密感が演出できます。ちなみに実機のSH-60Kはローターを展開した状態だと全長19.8メートルもあるのですよ

■甲板上のウォークラインなどはデカールが用意されています

■艦底には船の制動を制御するフィンスタビライザーが再現されているほか、2基装備するスクリューもシャープなエッジで再現されています

 

塗装してみました

 ここまでは、キットの素性がわかりやすいように未塗装の素組み状態で紹介してきました。しかし、せっかくなのでこの状態から基本色3色塗装+スミ入れを行い、完成させてみることに!

■塗装、スミ入れ、デカールをするとこんなにも精密感溢れるリアルさに!

 マニュアルで指示されているピットロード海自グレーが入手できなかったため、代用としてグレーより少し青みがかかったGSIクレオス グレーSF36375(308番)を使いました。この色は米制空迷彩色としてF-15などに使用する色ですが、海から受ける反射をイメージするとこのくらい青くても良いかなと思い使ってみました。

 今回は紹介記事制作のために先に一度無塗装のまま船体を完成させていますが、塗装と並行して組み立てをした方がいい場合もあります(モデルによっても違います)。

 塗装にはタミヤのスプレーワークスHG(エアブラシ)を使用し、基本のグレーを塗った後、マスキングを施して艦底色、喫水線近くの黒い帯を順番に塗装。次に筆塗りで船体各所のレーダーレドームやCIWSなどをタミヤエナメルの白、そしてスクリューをチタンゴールドで塗装しています。

■塗装そのものは必要最小限としましたが、キットの素性が良いのでかなりいい感じです

 全体の基本塗装が終わったら、仕上げです。タミヤのスミ入れ塗料のグレイとブラックを使ってスミ入れを施し、全体のディテールを引き立たせました。

 最後はデカール貼り作業です。点数そのものは少ないですが、慎重に作業を進めましょう。ウォークラインなど細く複雑な形状のデカールは、思い切って分断して少しずつ乗せていくと良いかもしれません。

■そして完成です!

 製作工程は足かけ4日程度でした(もちろん丸一日作っているわけではありません)。工作にはパテなどを使用する必要もなく、作りやすさも抜群なうえ、その詳細なディテールは1/700スケールとは思えないほどの密度感です。

 

もっと気軽に楽しんでみましょー

 今は完成品の自衛艦モデルを本の付録やコーヒーのオマケとして手に入れることができる時代です。しかし、やはりプラモデルの持つストイックな精密感は、出来合いの商品の追随を許さない満足感を与えてくれます。

 今回紹介した、全部組み立ててから塗ると言う製作方法だと、とりあえず組み上がったキットを見て喜び一服。さらに塗装をしてきちんと仕上げることで、二重の満足感を得る事ができたといえます。

 この「あきづき」のキットには、エッチングパーツなどは入っていません。キットに入っているものだけで、これだけの精密感ある模型になるわけです。ただ組み立てただけでも格別の満足感が得られることはまちがいありません。週末の息抜きに、軽い気持ちでその精細なディテールを味わいながら組み立ててみてはいかがでしょう? これまで艦船模型は大変そうと思って尻込みしていた人にも是非お勧めしたいキットです。

1/700 海上自衛隊 護衛艦 DD-115 あきづき
ピットロード/発売中(2013年4月発売)/3,570円(税込)/1/700スケール(全長:約21.5cm)

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