【連載】T-REXの「巨神ゴーグ」ガレージキットを紹介!

11.28.2012 · Category インタビュー, レビュー

 

 ガレージキットには一般流通品にはない稀少なアイテムを手に入れることができる、という素晴らしい側面がある。思い入れのある作品に関係するものや作家性の高い芸術的な造形など、「いくら払っても惜しくない」アイテムは誰にも存在するだろう。

 今回紹介するのは、そんなガレージキットの1つで、サンライズのロボットアニメ『巨神ゴーグ(ジャイアント・ゴーグ)』に登場する異星人の生んだドークス・ガーディアン「ゴーグ」だ。

『巨神ゴーグ』(1984年放映)は確かにロボットアニメではあるのだが、当時スーパーロボットやリアルロボットというジャンルがそれぞれ成熟を見せていた時代にあって、特殊な位置づけにあるといっていい。物語は異星文明との相互理解の可能性をテーマとする1人の少年・田神悠宇(たがみ ゆう)の冒険譚だった。

写真!
■『巨神ゴーグ』で描かれた「少年とロボットの心の交流」というコンセプトは、後の「勇者シリーズ」にも繋がっている。サンライズの作品紹介ページでは第1話が視聴可能となっている、また続きが気になる人はバンダイチャンネルで全26話を一気に見ることができるぞ!

 原作・監督・キャラクターデザインは「機動戦士ガンダム」で知られる安彦良和氏である。作画面の重要パートはすべて安彦氏が担当し、各話で作画の特徴が異なるのが当たり前だった当時、全編にわたってハイクオリティな“安彦作画”が見られたことでも話題となった。

 ゴーグは操縦者に操られるロボットではなく、喋りこそしなかったが自己の意志を持つかのように振る舞う、悠宇の大切な友だちである。沈みゆく島の埠頭での別れのシーンの切なさは、当時の子どもたちの心に強く印象として残った。それだけに、ほかの作品にはない特別な思い入れを持つファンも多いはずだ。

 放映当時、プラモデルなどの立体物が発売されていたが、現在は入手が難しい。また、その後製品化される機会も少なく、ちょうど当時の少年たちが大人になり、なにかのきっかけで懐かしさを覚えアイテムが「欲しい」と思っても、それこそガレージキットくらいしか手段がなかったのである。

■写真左が全高30cmを超える大サイズ、そして今回紹介していくのが写真右の18cmのものだ。

 そんな時、ワンダーフェスティバル(以下、WF)にとあるディーラーが出展し、このゴーグのフル可動キットを販売した。最初は全高30cmを超える大サイズで、そして前回のWF 2012[冬]ではこれを縮小した18cmサイズのものを開発し、現在ではゴーグファンの間で話題となっているという。

 開発したのはT-REX(ティーレックス)というディーラーだ。正確には、様々なアイテムの設計を請け負うプロ集団で、れっきとした造形専門の会社である。デジタル設計によるアイテム開発を生業とし、模型や玩具のメーカーの依頼を受けて仕事をこなすだけあって、このゴーグもアイテムとしてはもう既製品と同等以上なのだ。

 自社の技術力をアピールするため、という名目でWFに出展を始めたというが、選ぶアイテムは多分に趣味的だ。それもそのはず、設計もレジンでの複製(量産)も完全に採算を度外視している。会社の名前でディーラー出展してはいるが、半ば課外活動に近いという。だから設計・開発費(人件費)などは販売価格に入っていない。そのため、驚くほどの安価で販売されている。

■レジンキャストキットというと、どうしても壊れるのでは? とちょっと手に取って遊ぶことが心配になったりもする物なのだが、素材の選択と遊ぶことに焦点を絞った設計によって、気楽にアプローチできるのだ!

 このゴーグはいわゆる関節可動タイプのレジンキャストキットだが、ほかの多くのキットと大きく異なっている点がある。それは、ABSレジンと呼ばれる特性の違うものを主体として構成されているところだ。ABSレジンは通常のレジンよりも硬質であり、歪みも少ない。高価であるのと、流動性が低く複雑な形状の注型には向かない以外は非常に優れた素材だ。

 なぜこの素材をチョイスしたのか? T-REXで設計を担当する元木氏に話を伺ったところ、「動かして遊べる、落としても壊れない、玩具としてのゴーグを追求しているから」との答えが返ってきた。つまり、飾っておくためのものではなく、ガシガシと関節を可動させて遊べる、より模型を身近に感じる遊び方が可能なアイテムとして作られているのだ。

 入手しにくいキャラクターが立体化されただけでも本来ならば喜ぶべきことだが、これを手に入れた人のすべてが必ずしもガレージキットの製作を簡単だと感じているわけではないだろう。しかしT-REXのゴーグは、購入した人がなるべく実際に組み立てて飾る、もしくは遊ぶことができるよう、できる限りの配慮がされているのだ。

 現在のところ、WFにおける販売のみのアイテムであるが、元木氏によれば今後も「1人でも欲しいという人がいる限り、なるべく作り続けたい」とのことで、この意向を汲み、版元のサンライズが版権許諾を下ろしてくれることになったという(WFは当日版権のみ)。WF以外でももし機会があれば、ぜひこのゴーグを手に入れてみてほしい。

■胸部のハッチの開閉ギミックもしっかり再現。

■ゴーグファンなら必ずやりたくなるだろうこの「膝を折る」動きを再現できる可動と設計は嬉しい。

 次回は、このゴーグ(&マノンタイプ)の設計と製品仕様についてもう少し詳しく見ていこう。設計の元木氏の情熱と技術力の高さ、そしてこのゴーグに込めた思いを紹介していくぞ。お楽しみに!

次回の更新は12月05日水曜日PM12:00です。

ノンスケール フル可動 巨神ゴーグ(18cm)
15,000円(WF2013冬販売予定価格)

©サンライズ
※掲載しました写真は開発中のため、実際の製品と異なる場合がございます。

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